これまでの経歴について教えてください
ちょっと変わったキャリアかもしれません。会社立ち上げを2回経験しています。新卒で入社したのはソニーの金融事業会社。当時はキャッシュレスが一般的でない時代でしたが、同社は非接触IC・FeliCaを使った大規模な電子マネー決済の実証実験(のちのEdy)を進めており、新しい価値の創出に惹かれて入社しました。残念ながら電子マネー企画の仕事には就けなかったのですが、地方支社の営業職からスタートし、その後マーケティングや商品企画、データサイエンス領域などを経験。当時まだ一般的でなかったデータマイニングを第一線の現場で学んだことが、データに立脚して物事を思考する今の私のベースになりました。
1回目の転機は2008年。カード事業の一部を分割承継の手法で切り出して新会社を設立する案件に携わりました。少人数での立ち上げだったため、文字通り寝る間も惜しんだハードワークを経験。時代背景もありますが、とてもこういったインタビューで話せるような働き方ではなかったですね(笑)。
2回目の転機は2013年。iPhone登場以降の世界的な経済環境の変化、特に優れたUI・UXが既存サービスを急速に置き換えていく状況を目の当たりにし、金融事業会社単体ではなく、より消費者に近いプラットフォームの立ち位置から金融を掛け合わせて作る提供価値が必要ではと考えるようになりました。そんな折、KDDIが金融事業を立ち上げると知り、居ても立っても居られず転職を決意。KDDIで担当したのがカード事業とauフィナンシャルサービス(当時のKDDIフィナンシャルサービス)の立ち上げでした。当時社長から「ローンチまでの猶予が10カ月」と聞かされた時は驚愕しましたし、「不可能でしょ!?」と思いましたが、本当に10ヶ月で立ち上がった時にはもっと驚きました(笑)。このベンチャースピリットとスピードこそ、今も当社に息づく強みだと思います。
マーケティング戦略本部の役割や特徴を教えてください
役割は極めてシンプルで、当社主力であるカード事業のトップライン(売上)を伸ばすこと。そのために必要な機能を本部内にワンパッケージで備え、効率的・効果的に業務を進めています。
まず、市場のお客さまにau PAY カードを認知いただき、好意への意識変容を促す広告宣伝の機能。
KDDIと連携し顧客ニーズをプロダクトや施策に反映させつつ、チャネル特性に合わせた企画を立案し会員獲得を推進する機能。
ご入会後のスムーズなオンボーディングと、「もっと使いたい」と思っていただける利用機会や決済体験を提供するCRM企画やエンゲージメント促進を図る機能。
さらに、決済やポイントにとどまらず、auの通信サービスをはじめauフィナンシャルグループが擁する銀行や保険等のアセットと連携し、幅広い体験価値を創出する機能。
これらの企画や価値創出を横断的に支える「データ戦略」や「メディアコミュニケーション」の機能も本部の役割です。
つまり、「認知→入会→オンボード→決済金融利用→グループアセットの組み合わせ利用」という顧客体験ファネルに沿った価値創出とコミュニケーション設計・実践までを、スピード感をもって一気通貫で推進できる体制を整えています。
フロントオフィス機能が集約されているため部署間連携がしやすく、週次会議ではマネージャー以下のメンバーも自由にアイデアを出し合える環境があります。たとえば、データ部門のメンバーが利用促進企画を発案したり、会員獲得部門のメンバーがグループとの連携企画を提言したり等、もともとの役割をクロスオーバーした取り組みが頻繁に行われています。課題を発見し「やりたい!」と手を挙げたメンバーには、基本的にその案件をリードしてもらっており、こうした取り組みが、会社の成長やトップライン拡大につながっています。
当社でマーケティング活動を行う魅力を教えてください
膨大なauの顧客基盤やauフィナンシャルグループの事業アセットを活かすことを前提に、顧客に寄り添ったサービスやコミュニケーションをデザインできるところですね。たとえば、金融サービスと組み合わせることで通信料金が割引になる「auマネ活プラン」は、当社では会員獲得メンバーを中心にKDDIやグループ各社と連携して進めた企画で、お客さまから大変ご好評をいただいています。実際、「スマートフォン金融・決済連携プラン顧客満足度調査」でお客さま満足度No.1の評価を受けました(※)。こういった事業会社単体では成し得ない、市場インパクトのある企画を実行に移せるのは大きな魅力だと思います。
アセット活用の面では、グループデータを利活用できる環境も強みの一つです。事業会社単体では得られない情報を組み合わせることで新たな価値が提供できます。与信分野へのデータ活用は分かり易い例ですね。カード入会審査では従来の指定信用情報機関の情報に加え、auの通信契約や利用状況等のデータを掛け合わせてスコアリングを行うことで、より適正な与信が可能になります。
もちろん、データの利活用は企画業務にもマーケティング業務にも有効で、一定の手順を踏めば誰でもデータ分析環境にアクセスできる仕組みを整えています。顧客体験を損なわないためのガバナンスも徹底されており、仮説構築から実行までをスピード感をもって進められるのも特長です。また、当社はサービス会員数や売上規模に比して社員数が少なく、一人ひとりが大きな裁量と責任を持って業務に取り組んでいます。施策の立案から実行までを一貫して担当できるため、スピード感をもって挑戦し、自ら成果を創出したい方にとって大きな魅力です。
(※)2024年J.D. パワー調査による
データを用いてマーケティング活動を行うために重視していることを教えてください
施策の立案・実行では、「仮説思考」と「データドリブンであること」の両方を重視しています。重要なのはデータ解析スキルではなく、課題や改善点に気づき自分なりの仮説を立てることです。そのうえで仮説をデータで検証する方法を考えられれば、施策の精度や実行スピードは格段に高まります。たとえば、カードを使わなくなった会員が急に利用を再開した背景を分析すれば、同様の環境にある非利用者にも有効な施策を展開できます。
こうした変化点の発見にはデータが有効ですが、その発見に至る出発点は「こうすれば使ってもらえるのでは?」という仮説です。仮説は定性的なもので構いません。自分がユーザーとして感じた不便さを手がかりに、「この課題を解消すれば利用が増えるのでは」と仮説を立てデータで裏付ける。これができればデータの見方や切り口も明確になります。
繰り返しになりますが、データドリブンといっても必ずしも高度な統計解析知識が必要なわけではありません。仮説を立てる力、または裏付ける力のどちらかがあれば成果は出せます。共通して大切なのは「課題を自分で考える力」。課題を自分ごととして捉え、仮説を立て、柔軟に手法を選び、周囲を巻き込んで実行する姿勢こそが、当社のマーケティング活動で重視している点です。
最後に、当社への入社を検討している方へメッセージをお願いします
当社の魅力は、ベンチャー気質があり、課題意識を持てばすぐに挑戦できる環境があることです。組織構造はシンプルで必要な機能も整っており、課題解決の方法や範囲に制限はありません。自ら課題を見いだせれば、配属部署に関係なく様々な協力関係の中で挑戦でき、取り組みが会社の成長に直結する点も大きなやりがいです。
マーケティングに取り組む環境としても、消費者に最も近いメディアであるスマートフォンを軸に発想し、通信・エンターテインメント・エネルギーといった多様なグループサービスを組み合わせた価値創出が可能で、金融事業単独にとどまらない新たな挑戦が行えます。
そして、柔軟なサポート体制も整っているので、仕事と家庭を両立しながら挑戦を続けられます。たとえば子どもの寝かしつけ後に仕事を再開する等、ライフスタイルに合わせた効率的な働き方も可能です。私自身も一昨年子どもが生まれ、この環境を活用して両立しています。挑戦を楽しみながら成長し、その成果を会社の成長にもつなげたい方にとって、可能性を拡げられる場所です。そんな環境に魅力を感じていただけた方と、一緒に挑戦できる日を楽しみにしています。
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